タンチョウは今や生息個体数1,000羽を超え、当面の絶滅の危機を免れたと言われています。しかし、タンチョウの未来は安泰ということではなく、まだまだ多くの課題を抱えています。今後のタンチョウ保護では、具体的にはどのような活動が必要なのでしょうか。

 タンチョウ コミュニティは、活動を推進していく上で、タンチョウや、タンチョウを取り巻く自然環境や社会環境などの、現実的かつもっとも理想的な将来像をイメージしておくことが必要だと考えました。


タンチョウコミュニティのイメージする
タンチョウの将来像


北海道各地の湿原で繁殖している

 生息地は局所的よりも広域的の方が、タンチョウにとってはよい状況といえるでしょう。すでに繁殖域は自然に広がりはじめていますが、将来的には北海道各地の湿原で繁殖していることをイメージします。



独立かつ分散した
複数の越冬個体群が存在している

 タンチョウの個体数回復に、人為的な給餌活動が大きく貢献していることは言うまでもないでしょう。しかし一方で、タンチョウの越冬地は局地的になっています。
 将来的には、給餌場の有無にかかわらず独立かつ分散した(他との交わりのない)複数の越冬個体群が存在していることをイメージします。

人為的な給餌に依存しない
越冬個体群が存在している

 人為的な給餌自体、決して悪いこととは考えていませんし、給餌のすべてをなくすことは現実的とは思えません。しかし、単に給餌さえしていればよいという考え方は、すでに古い考え方になっています。
 将来的には、給餌に依存しない個体群が存在していることをイメージします。



タンチョウ コミュニティのイメージする
タンチョウを取り巻く自然環境や社会環境の将来像


各繁殖地で環境保全の取り組みが行われている

 タンチョウが繁殖できる環境のすばらしさやその価値が理解され、そのような環境を保全する取り組みが当たり前のように各地で取り組まれていることをイメージします。



農業地帯で繁殖するタンチョウと
地域住民との良好な関係が保たれている

 農業地帯で繁殖するタンチョウの増加は避けられないでしょう。将来的には農業地帯におけるタンチョウと地域住民との良好な関係が築かれていることをイメージします。



給餌場を有する越冬地では
適正な給餌が行われている

 給餌場を有する越冬地においては、給餌のプラス面を最大限活かすとともに、マイナス面を最小限に抑えるための方策が検討・実施されていることをイメージします。



自然採食環境を保全する取り組みが行われている

 特に越冬地においては、給餌場の有無にかかわらず自然採食の可能な湧水地などの自然採食環境を保全する取り組みが行われていることをイメージします。

 タンチョウコミュニティは、これらの将来像を念頭に入れ、鶴居村でできること、やらなければいけないことを推進していきます。
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